たいこどんと
こわいのなんて
へのかっぱ

「あー はっぴょうかい でたくないな」
あるひの ほうかご たいこのよこで ためいきを つきながら やまとくんがポツリ。
すると どこからともなく
『こわいのなんて へのかっぱ〜♬』
「えっ! だれ?」
『こわいのなんて へのかっぱ〜♬』
「えっ どこ? あっち? こっち? そっち?」
『ここ! ここ! ここだよーーー!!』
「えっ!!」
やまとくんが うえをむくと そこにいたのはーーーー

なんと! でんでんだいこの かみさま 〝たいこどん〟でした。
「ぴょーーーん!ぼくは たいこどん。 ねぇ やまとくん。 たいこ たたくの すきなのに どうして はっぴょうかい でたくないの?」

「だって ぼく はじめてだし。 ぼくだけ しっぱいして わらわれたら どうしよ。」
やまとくんは しょんぼりしながら いいました。
すると たいこどんがーーーー

『こわいのなんて へのかっぱ! ソリャ!』
てんとん♬ てんとん♬
てんとん♬ てんとん♬

『こわいのなんて へのかっぱ! ソリャ!』
ぺんぺん♬ ぺんぺん♬
ぺんぺん♬ ぺんぺん♬

「えーー なにこれーー?」
「これは こわいをけす おまじない♬」
「さぁ れんしゅうしよ!」
「うん がんばる!!」

ドンドンドコドコ
カッカッカッカッ
ヤァーーーーーー!

「でも ぼく やっぱりまだ こわいな」
すると たいこどんが おおきなこえで いいました。

『こわいのなんて へのかっぱ! ソリャ!』
てんとん♬ てんとん♬
てんとん♬ てんとん♬

『こわいのなんて へのかっぱ! ソリャ!』
ぺんぺん♬ ぺんぺん♬
ぺんぺん♬ ぺんぺん♬

あははははは

「ねえ やまとくん! やまとくんの おうえんだんが おはなし したいんだって!」

「えっ! おうえんだん? もしかして ぼくのファン? てれちゃうなーー」

やまとくんが かおを あかくしていると

「いくよ!それーー ふうーーーーーー」

たいこどんが やまとくんに きいろのいきを ふきかけました。

「わあーーーーーー」
きいろのきりに つつまれ ゆっくり はれていくと そこにいたのはーー

かおのついた おててちゃんと ひざこぞうくんでした。
「やあ!やまとくん」
「えぇーーー てとひざが!?」

「やまとくんの いちばんの おうえんだんだよ!」
たいこどんは とっても うれしそう。

「えへへ やまとくん。 いまから いっしょに むかしばなしをしようよ!」

おててちゃんと ひざこぞうくんは いいました。

「えっ むかしばなし?」

「やまとくんは うんどうかいの かけっこがこわくてね。 せんせいの あしに ひっついて いっしょに ゴールしたの」

「えーーーっ はずかしい!」

「かわいかったよ」
「うん かわいかった」

「でもね。 そのいちねんご やまとくんは じぶんのあしで はしってたんだよ!」

「えっ! もしかして 1い!?」
「ううん。 どべから2ばんめ」
ズコーーーーーーーーーーッ
「でもね!」
そういって おててちゃんと ひざこぞうくんは とびっきりの えがおで いいました。

すごーく はしるのが たのしくて うれしくて
だれよりも だれよりも はしるのが
だぁーいすきって!
つたわってきたねー。 ねー。 かわいかったー。
たいこもさ。 とりあえず たのしんで
だぁーいすきって おもえば うまくなくなって いいんだよ!

みんなに はげましてもらった やまとくん。
たいこのれんしゅうを いっしょうけんめいしました。

「でも・・・まだちょっと。こわいな・・・」
『こわいのなんて へのかっぱ!ソリャ!!』
「うっひょ〜〜〜〜〜!」
やまとくんは ときどき おどっては がんばりました。

そして
とうとう たいこのはっぴょうかいを むかえたのでした。

でも
「えーーん やっぱり こわいよーー」
やまとくんは じぶんのてで
めをおおい くらいせかいに
はいっていきました。

「やまとくーーん もうすぐ でばんだよ」
「うーーー くすん くすん」
やまとくんは とうとう なきだしてしまいました。

すると くらいせかいから にゅっと
てがあらわれて
『こわいのなんて へのかっぱ!ソリャ!』

こちょこちょ こちょこちょ こちょこちょ こちょこちょ

あははははは

たいこどんから なんと てがはえて
やまとくんを くすぐりだしたのです。

たいこどんは やまとくんを だきしめました。
「やまとくん だいじょうぶだよ。 だいすきだよ」
「ありがと たいこどん。 ぼくも だいすき! じゃあ...いってきます!」
さっきまで ないていた やまとくんは もういません。 げんきに ぶたいのほうへ はしっていきました。

こうして やまとくんは みんなとたのしく たいこを たたくことができました。

『こわいのなんて へのかっぱ! ソリャ!』


おしまい

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つぎへつぎへ
みぎにすすみますひだりにすすみます